公正証書遺言の作成にかかる費用

文責:弁護士 小島 隆太郎

最終更新日:2024年05月21日

1 公正証書遺言作成に必要な資料

 公正証書遺言を作成する場合、遺言書案の他に、必要な資料を公証役場に提出する必要があります。

 まず、①遺産の内容となる預貯金の通帳の写しや不動産の謄本、固定資産税評価証明書の写しが必要となります。

 ②また、遺言者と相続人との関係を把握するため、被相続人と相続人の戸籍謄本の写しも必要となります。

 遺贈をする場合には、受贈者の住民票の写しも必要となります。

 ③さらに、公正証書遺言には実印で捺印することになりますので、公正証書遺言作成当日は実印を持参する必要があるほか、当該実印の印鑑証明書も用意する必要があります。

 この印鑑証明書は、遺言作成日から遡って3か月以内という有効期限があるので、注意が必要です。

2 必要書類の取得に必要な費用

⑴ 不動産の謄本・固定資産税評価証明書

 不動産登記事項証明書の取得費用について、登記所の窓口で登記事項証明書の交付を請求する場合の手数料は600円になります。

 オンライン請求を利用する場合には、証明書を郵送で受け取る場合の手数料は500円、最寄りの登記所や法務局証明サービスセンターで受け取る場合の手数料は480円となります。

 

⑵ 残高証明書・取引明細書

 通帳があれば、通帳の写しを公証役場に提出することになりますが、通帳が無い場合には、金融機関から残高証明書や取引明細書を取り寄せる必要があります。

 残高証明書や取引明細書の発行手数料は金融機関によって異なりますが、概ね1通につき、数百円から数千円程度かかります。

 

⑶ 戸籍

 2024年3月時点で戸籍謄本は1通あたり450円、除籍謄本と改正原戸籍は1通あたり750円の手数料がかかります。

 住民票は各自治体によって手数料の金額が異なりますが、おおよそ200円~300円程度となっています。

 戸籍の附票についても、各自治体によって手数料の金額が異なり、概ね300~400円程度になります。

3 証人の日当

 公正証書遺言作成の際には、証人2名の立ち合いが必要です。

 遺言者の推定相続人は証人になることはできません。

 弁護士や司法書士等の士業に依頼する場合や、公証役場の職員に証人を依頼する場合、証人一人につき概ね1万円前後の日当が発生することが多いです。

4 公証役場への手数料

 公正証書遺言を作成する場合、公証役場に作成手数料を支払う必要があります。

 この手数料は、公証人手数料令という政令によって全国一律で定められており、具体的な金額は遺産の金額によって異なります(令和6年3月時点での日本公証人連合会のホームページより)。

 参考リンク:日本公証人連合会・公正証書遺言の作成手数料は、どれくらいですか?

 また、遺言者が体調不良等で、公証役場まで行くことができない場合には、公証人が遺言者のいる場所まで出張することもできます。

 その場合、公正証書作成手数料の1.5倍の手数料がかかるほか、公証人の交通費と日当(1日2万円、4時間以内の場合には1万円)が別途必要になります。

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