遺留分侵害額請求をするとどうなるか

文責:弁護士 小島 隆太郎

最終更新日:2024年03月27日

1 自らの権利の侵害分を取り戻すことができる

 相続人の一部には、遺留分という権利が認められています。

 遺留分は、被相続人が他の者への遺贈や贈与等の財産処分をしていたとしても、相続人として最低限認められている権利のことです。

 この遺留分を侵害されている場合、権利者は遺留分侵害額請求をすることで、自らの権利を行使し、侵害された分を取り戻すことができます

 この遺留分は兄弟姉妹以外の相続人に認められており、その相続人の法定相続分の2分の1または3分の1が遺留分割合になります。

2 金銭での支払いを求めることができる

 遺留分侵害額請求をした場合、自らの遺留分を侵害している者に対して、侵害額に応じた金銭の支払いを請求することができます

 法律が改正される以前の遺留分減殺請求の場合には、必ずしも金銭の支払いとはならなかったのですが、法律が改正されて遺留分侵害額請求となって以降は、金銭での支払いのみ求めることができるようになりました。

 金銭での支払いの代わりに相続財産の不動産を取得することになった場合には、法律的には、義務者からの遺留分侵害額相当の金銭の支払いの代わりに不動産を取得したという代物弁済という扱いになります。

3 遺留分侵害額に応じた相続税が課税されることがある

 遺留分侵害額請求をした結果、遺留分侵害額相当の金銭を受け取ることになった場合には、遺留分侵害額請求をした者にも相続税が課税されることがあります

 すなわち、相続税は相続によって取得した財産額に応じて課税されることになりますが、被相続人の相続において相続税の申告・納付が必要であった場合には、遺留分侵害額を請求した者は相続による財産を取得したことになり、他方、遺留分侵害額を請求された者は、自らが取得した財産から支払った遺留分侵害額相当の金銭を控除した額が相続によって取得した財産ということになります。

 相続税の申告・納付までに遺留分侵害額が決まっていれば、これに従って申告をすることになり、申告・納付をした後にこの額が決まったときには、更正の請求によって、最終的に決まった額に応じた相続税が負担されることになります。

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