遺言執行者には誰を選んだらよいか

文責:弁護士 小島 隆太郎

最終更新日:2024年02月26日

1 遺言執行者とは

 遺言者が亡くなった後に、遺言の内容を実行してくれる人のことです。

2 遺言執行者になれない人

 未成年者と破産者は遺言執行者になることができません(民法1009条)。

 それ以外の方は基本的に遺言執行者となることができます。

3 家族が遺言執行者になることの課題

 ご家族が遺言執行者になることも当然、できます。

 遺言者にとっても、ご家族が遺言執行者になってくれることは、身内ならではの安心感があるかと思います。

 ただ、家族が遺言執行者になることは、①遺言の内容をめぐる紛争に発展しないか、②速やかに手続きを完了させることができるかという点で注意が必要です。

 以降でそれらについて詳しく説明いたします。

4 ①遺言の内容をめぐる紛争に発展しないか

 誰が遺言執行者になっているかということは遺言書に記載します。

 また、遺言執行者は自分が遺言執行者となっていることを他の相続人に通知しなければなりません。

 そのため、誰が遺言執行者となっているかは他の相続人も知ることになります。

 特に、遺言執行者も受遺者の一人として財産をもらう立場になっている場合、他の相続人から、「あなたが有利になるように遺言書を書かせたのではないか」等と疑われることがあります。

 ご生前に遺言書を作成する際に、他の相続人もその内容を知ったうえで作成している場合は、このような争いにならないのですが、他の相続人は遺言書の内容を知らない場合、このような言いがかりをつけられ、紛争となることがあります。

5 ②速やかに手続きを完了させることができるか

 遺言書の内容にもよりますが、遺言執行者は、遺言の内容に基づき、亡くなった方の預貯金通帳の解約払い戻しや、法務局での移転登記手続、その後の相続税の申告手続等を行うことになります。

 移転登記手続や相続税の申告には、期限が設けられています。

 また、預貯金の解約払い戻し手続であれば、ご自身で行うことも可能かと思いますが、移転登記手続や相続税の申告手続は、なかなか専門的な知識がない方が行うことは困難です。

6 遺言執行者は専門家を選ぶことをおすすめします

 以上の理由から、遺言執行者は、ご家族が就任することも可能ではありますが、できる限り専門家に依頼されることをおすすめします。

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