相続税を申告する義務がある人は誰か
1 相続や遺贈によって財産を取得した人
相続や遺贈によって、遺産を取得した場合、その人は相続税の申告義務者となり得ます。
2 遺産の額が基礎控除額を下回っていれば申告不要
相続税の申告義務者となり得る場合でも、相続税法上の遺産の額が、基礎控除額を下回って入れば相続税の申告義務はありません。
3 相続税の基礎控除額
これは、3000万円+600万円×法定相続人の人数で計算します。
例えば、夫・妻・長男・長女の4人の家族で、夫が亡くなった場合、法定相続人は3人ですので、3000万円+600万円×3人となり、遺産の額が4800万円を下回る場合は、相続税の申告義務がないということになります。
4 遺産の額を計算する際には要注意
遺産の額としては、現金・預貯金・土地・建物・株式等の有価証券・高価な貴金属類が考えられますが、他にも、遺産と「みなされる」財産がある点には注意が必要です。
例えば、亡くなった方が契約者・被保険者となり、相続人が受取人となった死亡保険金がある場合、これは、遺産とみなされる財産となります。
他にも、亡くなったことを契機に相続人に支払われる死亡退職金も遺産とみなされる財産となります。
更に、亡くなる前に行っていた相続人へ贈与した財産も遺産とみなされます。
特に、生前に贈与した財産は、現時点では亡くなる前3年間の贈与財産が対象となっていますが、令和6年1月1日以降から、この3年の期間が段階的に延長され、令和13年1月1日以降は相続開始前7年以内となりますので、遺産とみなされる財産額が増えることになります。
5 債務や葬儀費用は除くことができる
上記のような遺産と、遺産とみなされる財産から、債務や葬儀費用などを差引いた額が、基礎控除額を下回っている場合は、相続税の申告・納税義務はありません。
なお、上記以外にも、相続税の計算の際に遺産に含まれる財産がありますので、申告が必要かどうか心配な方は税理士にご相談されることをおすすめします。