相続税の申告期限を過ぎるとどうなるか

文責:税理士 小島 隆太郎

最終更新日:2023年08月03日

1 相続税の申告期限

 相続税の申告及び納税は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内に行わなければなりません。

 相続税の申告にあたっては、まずは被相続人がどのような財産を持っているかを調査し、調査の結果判明した財産の価値を適切に評価して相続税の金額を計算し、納税を行うことが必要になります。

 また、相続人が複数人いる場合で、遺言書がなく、かつ小規模宅地の特例や配偶者等の税額軽減等の特例を利用する場合には、遺産分割協議まで終えていなければなりません。

 10か月以内に遺産分割協議が終わらない場合、3年以内に分割協議が終わる見込書を提出すれば、分割協議完了後に特例を利用することができるようになります。

 ただし、その場合でも、まずは期限内に特例等を使わず、法定相続分で分割した形で一旦申告及び納税を行わなければなりません。

 では、もし相続税の申告の準備等に10か月以上を要してしまい、申告期限を徒過してしまった場合、どうなるのでしょうか。

2 申告期限を過ぎた場合のペナルティ

⑴ 無申告加算税

 無申告加算税は、期限内に正当な理由なく相続税の申告をしなかったことに対するペナルティです。

 期限後に自主的に相続税申告をした場合には、納付した税金額の5%が課されます。

 もっとも、申告期限から1か月以内に自主的に申告をした場合には、無申告加算税は課されません。

 また、税務調査によって相続税申告をしていないことが発覚し、その後に申告を行なった場合には、税金額の15%が無申告加算税として課されます。

 なお、納付する税額が50万円を超える場合、その部分に対しては20%の無申告加算税が課されます。

⑵ 延滞税

 延滞税とは、本来の申告期限から遅れて申告・納税をしたことに対するペナルティで、遅れた日数に応じて課される税金です。

 延滞税は、申告期限から2か月以内であれば、「年7.3%」か「延滞税特例基準割合+1%」のどちらか低い方のパーセンテージで計算され、2か月が経過した場合には「年14.6%」か「延滞税特例基準割合+7.3%」のどちらか低い方のパーセンテージで計算されます。

 令和5年時点では、申告期限から2か月以内の延滞税の税率は年2.4%、申告期限から2か月が経過した場合の延滞税の税率は年8.7%になっています。

3 相続税のご相談はお早めに

 以上、相続税の申告期限を過ぎてしまった場合のペナルティについてご説明しました。

 申告期限を過ぎてしまうと、本来支払う予定の金額以上に税金を納めなければならなくなります。

 ご家族が亡くなり、相続税の申告をしなければならないかもしれないと思ったら、早めに税理士にご相談されることをおすすめします。

PageTop