相続税の申告に必要な書類

文責:税理士 小島 隆太郎

最終更新日:2023年06月23日

1 相続税の申告

 相続によって財産を受け取った場合、相続財産の金額によっては、相続税という税金を支払わなければなりません。

 相続税は、相続税申告書と相続財産に関する資料を税務署に提出して申告を行います。

 では、相続税の申告の際に必要となる書類には、どのようなものがあるのでしょうか。

2 相続税申告に必要な書類

⑴ 預貯金に関する書類

 まず、預貯金に関する書類として、被相続人名義の口座の残高証明書が必要となります。

 残高証明書は、被相続人の亡くなった日時点の残高を証明する書類で、銀行に請求すると出してもらえます。

⑵ 不動産に関する書類

 ア 建物

 建物に関する書類として、建物の所有名義や持分を明らかにするために登記事項証明書(登記簿謄本)が必要になります。

 また、建物の価値を評価するために、固定資産評価証明書などが必要になります。

 イ 土地

 土地についても、建物の所有名義や持分を明らかにするために登記事項証明書(登記簿謄本)が必要になります。

 土地の相続税評価額の算定は、その土地が倍率地域に該当するか、路線価地域に該当するかによって算出方法が変わりますが、特に路線価地域の場合の算定は難易度が高く、様々な資料が必要となります。

 路線価地域の場合、土地の面積や形状を把握するための公図や地積測量図、土地の場所を把握するための住宅地図が必要となります。

 倍率地域の場合、固定資産評価証明書における土地の価値に、倍率表にある倍率を乗じて計算されますので、固定資産評価証明書が必要書類になります。

 倍率地域と路線価地域のどちらに当たるかや、倍率地域における倍率、路線価地域における路線価は、国税庁の出している評価倍率表、路線価図にて確認することが可能です。

 参考リンク:国税庁・財産評価基準書 路線価図・評価倍率表

⑶ 株に関する資料

 被相続人が上場株式を持っていた場合、銘柄や株数を確認するため、証券会社で発行してもらえる残高証明書が必要になります。

 自社株など非上場の株式がある場合、当該会社の直近3年分の決算書、当該会社が不動産を所有している場合には上記⑵に記載した資料、その他当該会社が所有している財産に関する資料などが必要となり、それらをもとに株式の評価額を計算する必要が生じることがあります。

⑷ 生命保険に関する資料

 被相続人が生命保険に加入しており、亡くなったことによって死亡保険金が支給された場合、保険金の支払明細書や、保険証券等が必要となります。

⑸ 死亡退職金に関する資料

 被相続人が亡くなったことによって死亡退職金が支給された場合、勤務先から発行される退職金の支払明細書が必要となります。

⑹ 債務に関する資料

 被相続人が亡くなった時点で、支払うべき債務(借金のみならず、未払いの医療費・税金・公共料金なども含まれます)については、相続財産から差し引くことができます。

 その場合、領収証等、支払った金額が分かる資料が必要となります。

⑺ 葬儀費用に関する資料

 被相続人の葬儀にかかった費用を相続人が支払った場合も、相続財産から差し引くことが可能です。

 その場合、葬儀会社へ支払った金額が分かる領収証や、葬儀費用の内訳書、火葬にかかった金額が分かる領収証、お布施として支払った金額が分かる資料等が必要となります。

⑻ 被相続人との関係性が分かる資料

 被相続人と相続人との関係性を明らかにするため、また、相続人が何名いるのかを把握するために、被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍謄本が必要となります。

⑼ 遺産分割に関する書類

 遺産分割協議を行った場合には、遺産分割協議書(写しでも構いません)を提出することとなります。

 また、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を利用する場合には、遺産分割協議書(写しでも構いません)だけでなく、印鑑証明書の原本を提出する必要もあります。

3 相続税申告に関するご相談は税理士へ

 このように、相続税の申告には非常にたくさんの資料の提出が必要になります。

 そして、これらの資料を基に、正確に相続税の計算をすることはかなり難易度が高い作業といえます。

 相続税の申告が必要な方は、多くの相続税案件を取り扱った実績と経験がある税理士にご相談ください。

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